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タイランドと猫とわたし

ぶlうぶlうふlうえlうよ

 とは一体なんのことぞ?とコンピュータの画面を見ながら思ったのは、今日のmame先生でした。

 ただいま8年生のRnくんは、カナダ人。でも、お父さんの再婚で、家族に日本人ができました(ステップお母さんが日本人で日本人のお子をお持ちの方だったので)。おうちのなかは基本的に英語。ステップ兄弟になった日本人の子も英語で育っています。しかし、しかし、ときに長期の休みに日本の学校に短期編入したり、公文に通ったり、日本語もちっちゃいころから勉強しています。おはなしは、家族ことばに限定だけども、意外となめらか。文法はめちゃくちゃ、語彙も超限定。でも、発音は、とってもネイティブです。「うん、いいよ。」ぐらいの発話だったら、母語話者だとみんな思うはず。

 そんなRくんと、今日は日本語タイピングの勉強をしていました。タイピングゲームをいろいろして、日本語のアルファベット入力になんとなく慣れるのが第一歩。おー、速いもんじゃね。さすが、さすが。さて、文章をいよいよタイプしてみようかね。

 「ぼく、この紙の書いてもいい?」と彼が見せたのは、ちょっと前にやったプリント。擬態語を勉強したときの、お話プリントでした。まことくんとゆかりちゃんが、馬に乗って楽しい一日を過ごす話。

 そして、この一行。彼はなんと打ちたかったと思いますか?





 「ぶるぶるふるえるよ」 です。

 馬に初めて乗ったまことくんが口にする台詞。

 そーよねー。ほーよねー。気持ちは分かる、痛いほどに。でもね、「らりるれろ」は、タイピングでは「ra ri ru re ro」なんよー。「la li lu le lo」じゃないんよー。

 外国語のクラスでひらがなを教えるとき、「あ」から始めて、しばらく基本的にそのまま行って、でも、ら行では、発音に注意するよう、いつも言います。「"r"みたいな発音したら、やー英語ぶってーって、わたしみんなのこと指差して笑いますからね、くひひ」と言うと、子どもたちはさんざん"r"で「rrrらーめん」とか「ひrrrrろしま」みたいなのをやってひとしきり遊びます。で、覚える。これは、"L"に近い音なんだ、と。でも、あー、教科書では"R"を使ってるね。ま、無視。
子どもはこのあたり頭がやっわらかくてとてもいい。本当にきれいな発音にすぐなります。

 ネイティブシャワーを積み重ねているRnくん。いわゆるローマ字表記なんて、そっちのほうが習っていないから、おちびのときから慣れ親しんでいるひらがなよりも、よっぽど難しいのです。今更、「らりるれろ」は「ra ri ru re ro」だ、なんて言われても、英語ネイティブの彼としては、まったくの???????なわけです。"R"と"L"は全然音が違うよ!となるわけです。

 結局彼は、今日の授業で、ずっとら行に苦しんでいました。ちっちゃい字(「ゅ」とか「っ」)とかは、まほうのXキーでなんなくクリアー、というか、むしろお気に入り。でも、ら行で撃沈。うぐぐ。

= = =
 話すことのほうが、書くことより、人は先に上手になりますね。それは普通のこと。言語学習のときは、ときとしてそれが同時進行になるときがあります。同じ8年生でも、外国語の日本語のクラス("R"の音で遊んだクラス)の子たちは、文字や文を書くとき、口から音を出していません。しかし、話すほうがよっぽど得意のRnくんは、書くときはいつも口から音を出しています。きっと、日本人の子どもも、筆記がたどたどしいころは、そうやっているはず。口から出しているいつもの音を、よっこらしょ、と文字にしている作業なわけです。

 とか書いていると、あー、修士論文でやった研究を思い出す。

 予想ですが、Rnくんは、おちびのときに受けたひらがな教育(おうちで、そして日本の小学校で)で、ローマ字を教えられなかったと思います。だって、普通そうよね。日本人のみなさん、ほーじゃったじゃろ?でも、そのころすっかり英語の読み書きの基礎を終えていたRnくんだったので、自分の頭のなかで、「そっか、"L"か」とどこかでインプットしたんでしょうかね。わたしがタイ文字を勉強するとき、どうやったって、アルファベットの助けは必須。先生が教えてくれなくても、自分の頭のなかでアルファベットに書き換えるだろうことは、容易に想像できます。それの、もっと子どもの、超素直な水を吸うスポンジ的なバージョン、と言ったら分かるでしょうか。

 そして、彼の名前は"R"から始まるんだな。そして、彼が日本語で話すときに言う自分の名前は、確かに"L"の音なんだな。だって、「ロ」と書くし、だいいち、日本人のみんなは、その音で自分を呼ぶし。すごいよ、Rnくん。っていうか、すごいよ、子ども?

 なんだか、ちょっとおもしろかったような、しみじみしたような、感服したような、そんな朝だったのでした。
by mamemama_blog | 2011-02-02 01:57 | お仕事@Thailand
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